2011年06月16日
気になる記事・税金4300億円のお金が原発へ
原発危機 検証3か月 (6)
「福島第一原子力発電所事故が発生し、拡大した最大の原因は、原発を
一体となって推進してきた『原子力ムラ』にある。知識・技術は不足し、
形骸化した安全審査が行われてきた」
エネルギー政策に詳しいNPO法人、環境エネルギー政策研究所長の飯田
哲也さん(52)は、こう指摘する。『原子力ムラ』とは、原発を安全だと
確信し、反対意見を受け付けない原子力推進に関わる省庁、電力会社、
メーカー、大学人などの閉鎖性を揶揄したものだ。飯田さんが1997年
に論壇誌に発表以来、広く使われる。
飯田さんが、『原子力ムラ』のなれあい体質を目の当たりにしたのは二十数
年前民間技術者として、東京電力が発注した福島第一原発の放射線の安全
解析を孫請けで担当したときだ。書類は、下請けの東芝を通して東電から
当時の通産省に提出された。同省が公表した審査の報告書を見て驚いた。
書類の体裁を整えただけで、自分たちの提出書類とほとんど同じだった。
「解析の妥当性を検証し、本当に安全化どうかを確認しない。事故が起こる
のは当たり前だ」と断言する。
ムラを支えてきた形態が「国策民営」だ。国は、交付金などで原発を推進する
一方、実際の建設、運営は民間会社が担う。原子力関連の国の予算は4300
億円、電力会社の投資は2兆円にも上る。
そんな『原子力ムラ』が拡大をしたのが73年の石油ショック以降。
エネルギー安全保障の観点から原発が各地で計画された。
翌年発生した原子力船「むつ」の放射線漏れ事故を機に政策78年、安全規制を
担う旧科学技術庁のお目付け役として原子力安全委員会が発足。
チェック機能が強化されたが2001年の省庁再編で、それも骨抜きにされた。
通産省を母体に誕生した経済産業省の中に、推進側の資減エネルギー庁と規制する
原子力安全・保安院が同居するというなれ合いの組織が出来上がったからだ。
原子力開発を牽引した旧科技庁は、文部科学省、原子力安全委員会に分散して姿を
消した。
「科技庁は組織が小さく頼りない」(重工メーカー幹部)。安全規制部門への経産省
への統合を求める声は、ムラの合意でもあった。
原子力の「推進側」と「規制側」が同居する『原子力ムラ』の弊害は長年、叫ばれ
てきた。しかし、今回の事故まで歴代政権は分離を否定してきた。
2007年10月の参院予算委員会。自民党の甘利明経産省(当時)は、分離論に
対し「原発はブレーキを踏みながら推進する。原子力安全委員会とダブルチェック
でやる」と反論した。
民主党は野党時代、原子力安全・保安院委員会と統合する「原子力安全規制委員会」
の創設を主張したが、政権交代後は「現実路線」を取り、その主張を押さえていた。
米国をはじめ内外の批判に応える形で、ようやく菅首相は5月18日、事故調査
委員会で分離を検討する考えを明言。福島原発を調査した国際原子力機関(IAEA)
は1日、規制当局について「独立性と役割の明確化が必要」と改善を迫った。
「保安院も、安全委員会も、規制組織と言いながら、国策の原子力推進システムの
内側にいた。安全性を過大評価をし、リスクを過少評価する不合理なシステムを
放置してきた国や政治の責任は重い」と神戸女学院大名誉教授で評論家の内田樹
(たつる)さん(60)は指摘する。
しかし、『原子力ムラ』を切り崩すのは容易ではない。もたれ合いの人事が複雑に
絡み合うからだ。
01年の省庁再編で誕生した保安院は、一度だけ旧科学技術庁出身者が院長に
就任をしたが、現在の寺坂信昭院長(58)ら幹部は、原発を推進してきた旧通産省
出身者で占められる。電力やメーカーから80人を採用し、中には、東芝製の原子炉
がある福島第一原発の保安検査官に東芝出身者を起用したケースもある。
トラブル続きの高速増殖炉「もんじゅ」に眼を光らせた鈴木篤之・前原子力安全
保安院長は昨年8月、そのもんじゅを運営する日本原子力研究開発機構理事長に
就任した。
電力業界は、社員の省庁OBの天下り受け入れと言う形で、霞が関と親密な関係を
深めてきた。政府によると、電力各社は2000年以降、少なくとも約100人の
現役社員を霞が関に出向させた。出向先には、原子力安全委員会など原発の安全基準
に関わる部署も含まれている。計32人の社員が出向した東電の場合、同一ポストを
代々引き継ぎ、「実質的な指定席」もあった。
一方、経産省によると、過去50年間に電力会社12社の役員や顧問に際し就職した
OBは計68人。将来の副社長含みで、今年1月に東電の顧問に就任した石田徹・
前資源エネルギー庁長官との癒着が問題視され4月末に退任。ただ5月2日現在、
13人が東電を含む11社に天下っている。
ムラのもたれ合い解消のため、元原子力安全委員長の松浦祥次郎さん(75)は
「学者としての倫理、安全文化を個人がどれだけ意識して行動したかを反省し、
閉鎖的なムラではなく信頼されるプロ集団にならねばならない」と語る。
「福島第一原子力発電所事故が発生し、拡大した最大の原因は、原発を
一体となって推進してきた『原子力ムラ』にある。知識・技術は不足し、
形骸化した安全審査が行われてきた」
エネルギー政策に詳しいNPO法人、環境エネルギー政策研究所長の飯田
哲也さん(52)は、こう指摘する。『原子力ムラ』とは、原発を安全だと
確信し、反対意見を受け付けない原子力推進に関わる省庁、電力会社、
メーカー、大学人などの閉鎖性を揶揄したものだ。飯田さんが1997年
に論壇誌に発表以来、広く使われる。
飯田さんが、『原子力ムラ』のなれあい体質を目の当たりにしたのは二十数
年前民間技術者として、東京電力が発注した福島第一原発の放射線の安全
解析を孫請けで担当したときだ。書類は、下請けの東芝を通して東電から
当時の通産省に提出された。同省が公表した審査の報告書を見て驚いた。
書類の体裁を整えただけで、自分たちの提出書類とほとんど同じだった。
「解析の妥当性を検証し、本当に安全化どうかを確認しない。事故が起こる
のは当たり前だ」と断言する。
ムラを支えてきた形態が「国策民営」だ。国は、交付金などで原発を推進する
一方、実際の建設、運営は民間会社が担う。原子力関連の国の予算は4300
億円、電力会社の投資は2兆円にも上る。
そんな『原子力ムラ』が拡大をしたのが73年の石油ショック以降。
エネルギー安全保障の観点から原発が各地で計画された。
翌年発生した原子力船「むつ」の放射線漏れ事故を機に政策78年、安全規制を
担う旧科学技術庁のお目付け役として原子力安全委員会が発足。
チェック機能が強化されたが2001年の省庁再編で、それも骨抜きにされた。
通産省を母体に誕生した経済産業省の中に、推進側の資減エネルギー庁と規制する
原子力安全・保安院が同居するというなれ合いの組織が出来上がったからだ。
原子力開発を牽引した旧科技庁は、文部科学省、原子力安全委員会に分散して姿を
消した。
「科技庁は組織が小さく頼りない」(重工メーカー幹部)。安全規制部門への経産省
への統合を求める声は、ムラの合意でもあった。
原子力の「推進側」と「規制側」が同居する『原子力ムラ』の弊害は長年、叫ばれ
てきた。しかし、今回の事故まで歴代政権は分離を否定してきた。
2007年10月の参院予算委員会。自民党の甘利明経産省(当時)は、分離論に
対し「原発はブレーキを踏みながら推進する。原子力安全委員会とダブルチェック
でやる」と反論した。
民主党は野党時代、原子力安全・保安院委員会と統合する「原子力安全規制委員会」
の創設を主張したが、政権交代後は「現実路線」を取り、その主張を押さえていた。
米国をはじめ内外の批判に応える形で、ようやく菅首相は5月18日、事故調査
委員会で分離を検討する考えを明言。福島原発を調査した国際原子力機関(IAEA)
は1日、規制当局について「独立性と役割の明確化が必要」と改善を迫った。
「保安院も、安全委員会も、規制組織と言いながら、国策の原子力推進システムの
内側にいた。安全性を過大評価をし、リスクを過少評価する不合理なシステムを
放置してきた国や政治の責任は重い」と神戸女学院大名誉教授で評論家の内田樹
(たつる)さん(60)は指摘する。
しかし、『原子力ムラ』を切り崩すのは容易ではない。もたれ合いの人事が複雑に
絡み合うからだ。
01年の省庁再編で誕生した保安院は、一度だけ旧科学技術庁出身者が院長に
就任をしたが、現在の寺坂信昭院長(58)ら幹部は、原発を推進してきた旧通産省
出身者で占められる。電力やメーカーから80人を採用し、中には、東芝製の原子炉
がある福島第一原発の保安検査官に東芝出身者を起用したケースもある。
トラブル続きの高速増殖炉「もんじゅ」に眼を光らせた鈴木篤之・前原子力安全
保安院長は昨年8月、そのもんじゅを運営する日本原子力研究開発機構理事長に
就任した。
電力業界は、社員の省庁OBの天下り受け入れと言う形で、霞が関と親密な関係を
深めてきた。政府によると、電力各社は2000年以降、少なくとも約100人の
現役社員を霞が関に出向させた。出向先には、原子力安全委員会など原発の安全基準
に関わる部署も含まれている。計32人の社員が出向した東電の場合、同一ポストを
代々引き継ぎ、「実質的な指定席」もあった。
一方、経産省によると、過去50年間に電力会社12社の役員や顧問に際し就職した
OBは計68人。将来の副社長含みで、今年1月に東電の顧問に就任した石田徹・
前資源エネルギー庁長官との癒着が問題視され4月末に退任。ただ5月2日現在、
13人が東電を含む11社に天下っている。
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