田から物　宮崎米穀店

◆味噌の活性酸素の除去作用

聖花「なぜ味噌に放射能防御作用があるのですか」

永井「放射線照射による粘膜へのダメージは主に、発生した毒性の強い活性酸素に
よるものであると考えられます。これについて、味噌には活性酸素を除去する
抗酸化物質を含んでいる事を、東北大学の医学部大久保一良先生（名誉教授）が
報告しています」

聖花「活性酸素とは、老化、疾病、とりわけ「がん」などの発生の原因物質として
知られていますね」

永井「活性酸素は反応性の強い酸素です。放射線の影響を受けると、細胞内の
『水』と反応して活性酸素と呼ばれる不安定な酸素を発生します。また、日常、
過食など生活習慣で体内（ミトコンドリア）で活性酸素が発生します。
活性酸素は細胞のたんぱく質、細胞核（ＤＮＡ）などと結合しやすく、本来の
機能を無くした酸化物を作ります。その結果、体内で多くの過酸化物ができ、
正常な遺伝子を破壊して老化『ガン化』を促進します」

聖花「活性酸素は病気、老化の根元、ということですね」

永井「われわれ人間も含め、動物には活性酸素を除去する酵素（例えばＳＯＤ）を
細胞内のミトコンドリアで作ります。面白いことに、動物の寿命とこのＳＯＤ活性
の間にははっきりした正の相関関係があります。つまり、ＳＯＤ活性が低い動物
ほど短命（マウス3年）で、ＳＯＤ活性が高いヒトほど、寿命が長い（８０年）」

聖花「人間は年齢が重なるにつれてＳＯＤ生成活性が減っていくらしいですね」

永井「そのため、私たちはそのSODの代わりに、植物に多く含まれる、活性酸素を
除去してくれる成分(抗酸化物質、例えば、カロチンなど)を食品として利用して
います」

聖花「活性酸素を除去してくれる抗酸化物質を含む食品を食べることで、ある程度
体内の抗酸化酸素SODの代役として働いてくれることを期待するわけですね」

永井「醗酵食品である味噌の成分が活性酸素除去に有効であることが大久保先生
によって明らかになりました。面白いのは、活性酸素を除去する抗酸化物質が、
味噌の醗酵の進行につれて高くなるということです」

聖花「醗酵が進むほど、活性酸素を除去する力が強くなる、ということですね」

永井「そうです。醗酵の過程で微生物、酵素の働きにより、細胞粘膜、細胞核
（ＤＮＡ）を傷つける有毒な活性酸素を取り除く物質が増えてきたのです」

聖花「６６年前に長崎原爆の時、病院の倉庫にあった味噌の活用、玄米ご飯で
放射能から身体を守ったということが、ここにきてそのメカニズムが一部解明
されたことになりますね」

永井「そういうことですね。放射能による被害は特に免疫力の低い高齢者や子どもに
影響が大きいと思います」

聖花「普段から、味噌汁、醗酵食品などをよく食べる食習慣は、長期的に放射能から身体を守るのに役立っていると思います」