田から物　宮崎米穀店

笑い・「したたかな脳」
　　　　　　　　　　　　　　中島　英雄　中央群馬大学
脳神経外科病院院長

京都大学教授の大島清先生によると、男性の脳は「純情」で、
女性の脳は「したたか」だという話です。
他の言い方をすれば、男性の脳は、「大脳新皮質」を基盤とし、
女性の脳は「大脳辺縁系」を基盤としているそうです。
端的に言うと、男性はハートより頭で考えるけれど、女性は感情
のおもむくまま。もちろんこれはあくまでも傾向ですが。
この考え方からすると、男性と女性の言動に差が生じるのもなる
ほどと、うなずけることが多々あります。

(略)
とにかく４０代、５０代の奥さん連中はよく笑う。これが群をなすと
その賑やかさは何倍にもなって、まるで怒涛のごとし。怖いくらいです。
ある講演中に、クモ膜下出血の話をしたことがありました。
突然の激しい頭痛や吐き気、嘔吐、意識障害がこの疾患の特徴。

『もし、皆さんの周りに頭痛や吐き気を訴える人がいたら、まず
救急車を呼んでください。そして大事な事は、この患者さんを
仰向けにしておかないこと。というのは、仰向けにしておくと
吐物が気道を塞いで窒息してしまうことがあるからです。
ですから、救急隊が到着するまで、必ず顔を横に向けておいて
くださいね』

女性聴衆「なるほど」とうなずいています。

さらに私がかさねて、
『でも、これを悪用しないでくださいよ。お姑さんがゲボッと
　やったら、“お義母さん、ハイ、上を向きましょうね”なんて』
そう言うと、ドーッと笑いの嵐が来る。

ところが、男性だけの聴衆では、こんな笑いはまず取れません。
逆に怖いくらいシ―ンとして、白い目で睨（にら）まれるのがオチ。
聴衆「何て医者だ。こんな真面目な話をしているのに、とんでもない
　　　ギャグを飛ばして。本当にこいつは医者か？」

こんな例ひとつ見ても、女性の笑いと男性の笑いは明らかに違います。
女性「まさか自分はそんなこと、されっこない」
と、思っているか、あるいは
女性「そうか、よし今度はやってやろう」
と、思っているかのどちらかでしょう。まさに“快の笑い”つまり
大脳辺縁系の仕業です。反対に

男性「これは、もしかしたら俺もやられるかも・・・」
という不安が脳裏を横切り、ふと笑いをキャンセルしてしまう。
つまり、ヒトならではの脳、大脳皮質がピクピク働くのです。