田から物　宮崎米穀店

味噌の放射能防御作用

対談（木元聖花漢方食品研究所木元聖花・
広島大学名誉教授、元日本生物工学会会長、永井史郎先生）

聖花「放射能防御に醗酵食品がいいということが言われていますね。
長崎で原子爆弾が落とされた時に、秋月振一郎医師は、病院内で貯蔵
されていた味噌を利用してご自身と患者さんを放射能から守った話が
伝わっています。
以前、ロシアのチェルノブイリで原子炉爆発事故（１９８６年４月２６日）
があったときにもヨーロッパの国々に大量の味噌が運ばれ、現在も続けて
いるとも聞いています」

永井「味噌のこのような効果を科学的に研究された研究グループがあります。
元広島大学原爆放射能医学研究所予防腫瘍教授である伊藤明弘先生と同研究
所環境異変研究分野名誉教授の渡邊敦光先生の論文（みそサイエンス最前線、
平成１１年２月１日改訂版）を拝読しました。
今日はその研究成果をご紹介をしながら、醗酵食品の味噌の放射能防御作用に
ついて考えてみたいと思います」

聖花「味噌の放射能防御作用が科学的に検討されたのですね」

永井「伊藤明弘先生のグループは味噌に放射能の影響を防ぐ作用があるかどうか
調べるために、マウスに、凍結乾燥させた味噌を含んだ餌を1週間与えました。
その後マウスに放射線（Ｘ線）を照射してみました。
照射を３日間続けた後、小腸の状態を調べてみると、味噌を与えなかったマウスの
グループに比べ、あらかじめ味噌を1週間与えたグループのマウスの小腸の粘膜
幹細胞の生存率は高い結果となりました。
実際、マウスの小腸粘膜を見ても、味噌を与えたマウスでは放射線照射後も傷んだ
粘膜細胞の再生が認められました。
このことは、味噌の中に含まれているある種の物質が、放射能の防禦作用に働いた
ことを予想させま」

聖花「味噌を食べていると小腸への、放射能によるダメージが少なく、正常化に
向かっているということですね」

永井「マウスの実験結果ではそういうことを示唆していますね」