田から物　宮崎米穀店

病院はお笑いネタの宝庫です


「ＣＴは記念撮影じゃないよ」


お年寄りの方に、検査の説明をするのは大変です。
『ＣＴスキャン、ＭＲＩをやりますよ』

と、言っても難しい。説明をするのも大変です。
でも、検査に恐怖心を抱かせないために、わかりやすく、
『写真を撮ります』

老人「ハァ、これからですか？今日はちょっと・・」

『何かまずいことでもあるの？』

老人「今日は普段着で来ちゃったんです」

『！？』


　　　　　　　「胸のレントゲン写真」

『ハイ、大きく息を吸って。ハイ、そのまま息を止めていて
ください』
レントゲンのスイッチを入れた後なら、しばらくして、
『ハイ、楽にしてください』
と、言うのですが、技師も人の子。１日に何人も撮っていると、
うっかり事後説明を忘れる時があります。

『ハイ、大きく息を吸ってください』

その後の言葉を忘れて、撮影をし終えたフィルムを持って行って
しまった。気の毒なのは残されたお婆ちゃんです。
ゼイゼイと苦しそうに喘ぎながら、

婆「もう息をしてもいいですか？」

年配の方は真面目で、言われたことはきちんと守る律儀な人が
多いので、検査のときは、充分過ぎるくらいの丁寧な説明を
してあげることが必要です。


「眠れない患者の処方箋」

年をとると、一日中やることもなく暇で暇で、退屈で仕方が
ない。そのくせなぜか、不眠症を訴えて来る患者さんが大勢
います。
９２歳の患者さんもその１人。

婆「センセェー、眠れなくて、眠れなくてね。一睡もできません」

『あのね、人間ってね。１週間も眠れないと死んじゃうんだよ』

婆「はぁ、そうですか。でもアタシ、夜は一睡もできなくて・・」

『ああ、そう。じゃぁ、昼間、何をしているの？』

婆「眠いから横になっているの」

――　昼間寝ているのは睡眠に入らないらしい。付き添いで
　　　お嫁さんが来ていたので、
『寝ているんでしょ』

と、目配せすると、笑いを堪えて
お嫁さん「よく寝ているんですよ」

『オバアチャンさ。どうして、夜、眠れないって分かるの？』

婆「だってセンセェ、時計のなる鳴る音がちゃんと聞こえる
んです。それで眠れなくて」

※ 自宅には先祖代々の柱時計が掛っていて、１２時が鳴って
午前１時が鳴って、ますます目が冴えるらしい。

婆「眠れなくて嫌だなぁと思っていると、３時に鳴って、４時に
鳴って、外で新聞配達の人が来たのまでわかるんです」

『そうか、じゃぁ、オバアチャン。昨夜、２時半に地震があった
の知っている？』

婆「はぁ？そんなの知らない」

――　実は１時間ごとに目を覚ましているんですね

『じゃ、そんなに眠れないんだったら、よく眠れる薬をあげま
しょう』

婆「でも、センセェー。そういう薬は、長い間飲むとボケちゃう
　　んでしょうね」

『そりゃ、２０年も３０年も飲み続けたらボケるでしょうね』

婆「アタシャ、ボケるのは嫌だから、薬はよしときます」

――　９２歳でこの台詞。金さん銀さんに負けません。こういう人は
１００歳以上長生きをします。


「余生は後？」

『オバアチャン。具合はどう？』

婆「先生、アタシはね、もう１年も生きられりゃいいと思ってんの」

『あ、そう。本当に１年でいいのね』

婆「えっ、・・・じゃあ・・、２年くらい」

『そう、たった２年でいいの？』
――　確認をとるようにいうと、たいてい慌てます

婆「じゃぁ・・、すみませんが、３年くらいにしておいてください」

――　寿命の出し惜しみをしちゃいけません