田から物　宮崎米穀店

店長日記・「自然食品店への道」

かつての尼崎市は南部工業地帯の大工場群の排煙・煤煙で
風景が霞むほど『大気汚染の公害問題』が深刻になり、
『土地持ちの根っからの人』『金持ち』『教育熱心な人』
が尼崎南部から出て行った。残った土地が借家になって
九州・四国・沖縄の人たちの出稼ぎの“安宿”になった。
残ったのは、根が生えて動けない商売人とか寺とか・・

大気汚染の問題がある上に４３号線の道路公害問題が
あったので、大物町を始め尼崎南部は人口流出が激しく
本庁地区の１０万人の人口が６万人に減っていった・・
私「このままでは町が“スラム化”していく・・」

遂に沿線住民が“決起”して、阪神高速道路建設反対の
『怒りの旗』を揚げて建設阻止を叫び、おじいちゃん・
おばあちゃんが「子や孫の健康の為、失われ行く町の
賑わいを取り戻す為」“体を張って”工事現場になだれ
込み実力阻止の闘いが、座り込みが６年間も行われた。
その熱意の闘いを、若手で作っていた事務局が支えて、
私も参加することになった。そのかいあって、やがて

公害問題は納まっていき、道路公害対策にも何百億円も
かけさせて収束はしていったが、子どもの学力など
「レベルの低い」のは残ったまま・・・
当時戦士のおじいちゃん・おばあちゃん・おっちゃん・
おばちゃんたちもみんな亡くなってしまった。

・・・今、思えば私の心のどこかに、その志の灯火が
残っていて、米屋から自然食品店へ、食育推進事業へと
尼崎南部をレベルアップする活動を展開をしてきた
のだろう。自分の仕事でできることを。

独りで切り開いていくには、ひたすら前向きに行くだけ、
なのに、昨年、立ち止まって振り返ってしまった・・
「やれることはやってきたけれど、どんだけのことが
　できたのか・・・」と、思っていた矢先にこれが・・・

尼崎の連続死体遺棄事件、東隣の地区のここからは
近い町で起きました。連日ヘリコプターがバリバリ・ブ―ンと
舞っています。毎日のように新聞記者が訪ねて来ます。
事件の関係者が私と同じ中学校の卒業生らしい。
日本中を震撼させる、いや、世界にも轟くのではと思われる
ほどの凶悪事件に発展しそうです・・・。
「・・これだけのことをやられたら、月光仮面が４、５人現われた
ところで、尼崎南部の汚名返上も名誉回復もかなわない・・」

心の中に暗闇が広がっていのを感じた・・・・
――　怖れてたことが起きた・・最悪の形で・・
私やお客様が健康で元気でやって来れたのは「間違いない」
しかし、「明日への展望がどうやったのか」・・
そんな時、サカモト・キッチン・スタジオの中村先生に
御指導いただいたキッズキッチンは
「光って見えて、やっていただいて善かった」

時代が人がどんどん変わっていく、良い方向に行っている
とはとても思えない中、キッズキッチンはますます大事な
事業になると思います。
子どもだけを見て、教えて、励まして、笑顔がこぼれたら
子どもは勇気を持って自信を持って生きていけるだろう。

私はこの地でコケテ、起き上がる度に毒々しい毒舌も吐く
草花になっていくのも・・仕方がない・・